ナオコの旅

持っているものでやり遂げる 喜んでしようと思ったとおりに

読書記録

おはようございます。

ウランバートルは、今日もよいお天気です。

 

さて、私の心のオアシス、モンゴル日本センター。

こちらの図書室には、モンゴルに関するの日本の本がたくさんあります。素晴らしい!

日本ではついぞお目にかかったことのないようなレア本がふんだんに棚に並んでおり(日本にも探せばあるのでしょうが)、テンションが上がります。

貸し出しは有料で、一日400トゥグルグ(約22円)です。

 

昨日、こちらの本を読みました。

『草の海-モンゴル奥地への旅』(椎名誠)。以下、感想です。

草の海―モンゴル奥地への旅 (集英社文庫)

草の海―モンゴル奥地への旅 (集英社文庫)

 

 

私が子供の頃、旅といえば、椎名誠か、C・W・ニコル。

椎名、と言えば、林檎でも、桔平でもなく、誠だった。

 

社会主義から民主主義へと移行する激動直下のモンゴルで、政治と全く関係なく、寝たり起きたりのゲル生活について描いてある。

あの激変の時でさえ、モンゴルの田舎はやっぱり田舎だったんだな、と思った。

モンゴルのこういうところが、好きです。

 

どうやら、合間に映画を撮っていたらしいのだが、撮影については何も書かれていない。

椎名さんと言えば、スナフキンに次いで憧れの旅人だったのに、この本に描かれているご本人は、若干軟弱である。

馬に乗れば尻から出血し、会話は日本人とばかり。モンゴル人に関しては名前と年齢が記載されているのみ。もっとぐいぐい行こうぜ!椎名さん!

それともあれかな。あえて書かなかったのだろうか。

まぁ、1995年発行本だから、もう20年以上も昔のことなんだけど。

旅には、コック的立場の人が同行しており、ゲルでひたすら日本食を食べているのも、ちょっと残念だった。

あれだな、この本には、旅本の醍醐味、孤独感が足りないんだな。

 大切なのは、孤高だ。スナフキンを見よ。

 

あと、この本の中に、この間読んだ、『さまよえる湖』(スウェン・へデン)が出てきた。

簡単に紹介しておくと、スェーデンの探検家、スウェン・へデンが、中央アジアを、幻の湖「ロプノール湖」を求めて、ボートで旅するのだが、

さまよえる湖

さまよえる湖

 

 なんか、底が浅すぎて湖の向こう側へ行けなかった、だの(「歩けよ!」と思った)、何だの、途中で退屈してきて、「さまよってるのは、湖じゃなくて、お前だろ!」と思ってしまった。

せめて、もっとキャラを立たせてほしかった。団体旅行なのに、本人以外、名前とか役割とかしか、登場しないなんて。友達おらんかったんかいな。

でも、感性豊かな若い頃に読んでいたら、感想も違ったものになっただろう。

出会うのが遅かった。

 

 

ちなみに、西遊記が面白いのは、キャラが立っているからだ、というのが、私の持論である。

 簡単に紹介しておくと、

西遊記(10冊セット) (岩波文庫)

西遊記(10冊セット) (岩波文庫)

 

石から生まれた猿が、努力の果てに神通力を得るも、調子に乗りすぎて、坊主の旅に同行させられる、というストーリーである。

この話が面白いのは、勤勉でまじめで要領を得ている猿に対し、坊主が独りよがりでわがままで、物の道理を一切わきまえていないところ。

猿は、この坊主のせいで、散々な目に遭わされながらも、涙ぐましいまでに忠実を尽くす。そこが面白い。

この岩波文庫のシリーズ、以前、勤めていた職場の図書館に寄付したので、もう手元にはないが、挿絵も素敵で、本当に面白かった。

でも、まぁ、こんなに面白いと思ったのも、若い頃に読んだからかもしれないな。

若者よ、感性が潤っている間に、たくさん本を読むべし。

 

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(ゲルにて。)

 

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(若い頃からの苦労がしのばれる、おじいちゃんの手。)