無題
今日の未明、突然、廊下が騒がしくなった。
誰かが英語で何か言っている。
耳を澄ましているうちに眠ってしまい、また、誰かの慌しい足音で目が覚めた。
そういうことが何度も繰り返されている内に、うつらうつらと、変な夢を見た。
だが、淡い雰囲気だけを残して、どんな内容の夢だったかは忘れてしまった。
しばらく経ってから、隣の部屋からドリルの音が響いてきて、何やら工事が始まったようだった。
水漏れか何かがあったらしかった。
そんなわけで、今日は、夕方近くまで、修理が行われていた。
今日は、ここの子どもの一人が誕生日だった。
嬉しくてたまらないらしく、何をするにも、体がはずんでいる。
夕方、PCに向かっていたら、部屋のドアがノックされた。
出ると、バースデーガールのその子が立っていた。
手に、スーパーで売っている、お菓子のロールケーキを持っている。
家で切ってきたのだろう、その切れ端を一つ、私に差し出して、
「今日、私の誕生日だから」
と、笑った。
受け取って、
「ありがとう」
と喜んで見せると、とびっきりの笑顔を残して、走っていった。
日本と違い、モンゴルでは、誕生日を迎えた本人が、周りの人に感謝を気持ちを表すそうだ。
とても素敵な風習だな、と思う。
(アルハンガイ 2016夏)