読書録 2019.8
皆さま、ご無沙汰しております
お元気ですか?
私は日本ですっかり羽を伸ばしております
今日は、久々に映画の感想をアップしてみようと思います
こちらです
パリ・オリンピックの金メダリスト、エリック・リデルは、アスリートとしての栄光を捨て、自分が生まれ育った中国で、家族と共に宣教師として働いていましたが、やって来た日本軍によってリデルは捕虜収容所に入れられてしまい…というストーリー
日本兵役の皆さんの中国語なまりの日本語はさておき、役者さんたちの演技力が抜群!
まず、子役の子がすごい!本当にこれ、演技なの?と疑いたくなるほど
上手いとかを越えて、すごくリアルなんです
感情を爆発させて、大人の神経を逆なでし、八つ当たりをくらうシーンも、実にナチュラル
泣いて笑って、生きている子供がそこにはいました
そして、主役のジョセフ・ファインズ
物語後半、ある人物が重い病にかかるのですが、それからしばらくして、洗濯物の隙間から見え隠れするジョセフの目を見ただけで、ああ、彼は亡くなってしまったんだ、と分かるのです
ただそこに立っているだけなのに、直面させられている現実の重みが、観る者の心に衝撃となって伝わってきました
色んな意味で非常に重い内容を扱った映画です
ちなみに、主役のジョセフ・ファインズですが、今回、私はずーっと、「ラララ・ランド」「きみに読む物語」のライアン・ゴズリングだと思って観てました
今、これを書くにあたってサイトを拝見し、ようやく別人だと気づきました
ジョセフ・ファインズは、「恋に落ちたシェイクスピア」の主役だった方ですね
Shakespeare in Love - Tazenda-Andrea Parodi
こうして見ると、エリック・リデルを演じた人とは、全くの別人に見えます
多少の経年変化はあるにしても、ただただ、すごい…
以前、ライアン・ゴズリングが、ジョーカー(ジャレッド・レト)だと勘違いしながら、「スーサイド・スクワット」を観終えたことのある私(その時は、めっちゃ幅の広い役者さんだなぁと思いながら、観てました)
どうも、私にはこの手のタイプは判別が難しいようです…
ついでに、先日観た映画もアップしておきます
天使は基本的に、ただ観察して報告するだけ、ということで、主人公の天使は、人間に憧れています
彼が図書館に入ると、人の目には見えないのですが、そこらじゅう天使だらけなのが面白かったです
そして、彼が人間になりたがるその理由
「靴を脱いで、足の指を広げてみたい」とか…
なんか、新鮮でした
機械より人間らしくなれるか?: AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる
- 作者: ブライアンクリスチャン,Brian Christian,吉田晋治
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/05/24
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読み応えたっぷりの一冊
チャットで会話をしながら、どちらが人間かを当てるチューリングテストで、人間としてコンピュータに勝利すべく、テスト対象に立候補した著者
絶対に勝ちたい著者は、事前に対策を練ろうと頭を絞ります
ところが、調べれば調べるほど、人間らしい人間とは何かが分からなくなっていき…という内容
「僕がこの考え―混合芸術、地衣類、手を取り合うサルとロボット―に興味を惹かれるのは、人間の置かれている状況をも言い表しているように思えるからだ。人間の本質とは、一種の混合主義である。最も優れていて、最も人間らしい感情とは、この地衣類のようにコンピュータと生物が融合した状態から生まれるのだと僕は思う。つまり、欲望と理性がぶつかり合って一つになり、己の限界をわきまえながら好奇心、関心、告発、驚き、そして畏敬といった感情をほとばしらせるのである。」
「会話をするコンピュータプログラムの歴史には、プログラム自体にもそれを開発した人間にも数多くの個性的な『キャラクター』が登場するが、《イライザ》にまつわる物語も面白い。来談者中心療法〔来談者(患者)への指示や診断をおこなうのではなく、セラピストが共感を示すことで気づきや成長を促す療法〕のセラピストをモデルに開発された《イライザ》の原理は実に単純で、ユーザーが自分で入力した言葉からキーワードを抽出し、文章として返す(「わたしは不幸せなの」「ここに来ることで不幸せから逃れるための手助けが得られると思う?」だけだ。) なにを話せばいいのかわからなくなると「話を続けて」のようなきわめて汎用的な言い方をすることもある。ユーザーの文章を決められたパターンに当てはめて、あらかじめ用意された表現で返答する―『テンプレート照合』と呼ばれる―それが《イライザ》の唯一の能力だった。
にもかかわらず、結果は驚くべきことだった。《イライザ》が最初に開発されたチャットプログラムであり、メモリや処理能力はゼロに等しく、わずか二〇〇行のコードで書かれていることを考えれば、信じがたいとさえも言える。初めて《イライザ》と会話した人々の多くは、本物の人間と会話していると信じて疑わなかった。」
この結果、製作者であるワイゼンバウムは、《イライザ》の開発を取りやめ、キャリアを捨てて、方向転換した。恐ろしくなったのである。そして、自らの研究結果を批判した人たちを応援し、AI研究に反対する科学者となった。
「AIの登場は、労働市場における感染症や癌—その病名は『効率性』である―などではなく、一種のうじ虫療法〔うじ虫に壊死した細胞を食べさせ、傷口を治療すること〕だと考えればいい。AIは人間らしさを失った部分だけを食べ尽くし、人間を健康に戻してくれるのだ。」
「あらゆる意味の経済性を否定するという芸術家の意志表示」
「『君が“行き詰まる”と呼ぶものを、僕は作曲と呼ぶんだよ』と彼は瞳を輝かせながら話した。」
「ある程度の期間なにをするか学んだら、以後はやることがわかっているのだから、ただ実行するだけと考えがちだ。優れた役者とは、そのような考えを断固として受け入れない役者である。そう考えたときには死んだも同然だ。ロボットに取って代わられる。」
「僕にとって、定跡とは人生の象徴に思える。ほとんどの会話やチェスの対局と同じように、だれの人生も最初と最後は同じであり、そのはざまに、わずかだけ違いを生み出せる時間がある。揺りカゴから墓場へ。胚から灰へ。そのはざまで、人間は火花を散らすのだ。」
結局、いわゆる「ちょっと頭おかしい」言動が、実は最も人間らしい、という結論が面白かった
とにかく情報量が多かった
これ一冊で、5,6冊分くらいの内容がありそう
パンデミック小説
恐怖の対象が明らかになった途端、どうにも、興味が薄れてしまった…
なんでかな…
登場人物の誰にも、心を魅かれなかった…
こういう物語では、現場の真田広之と政府側の佐藤浩市、そして悪役に三木プルーンの人が必須なんじゃないのかな…
高級料理を、ここまで言語化できるんだ…!ということに、まずびっくり
そして、探偵役が全く魅力的じゃないことにも、驚かされました
内容は、「このジャンルでそう来たら、最後はそこに行くよね…」という…
それにしても、表紙と中身のギャップが半端ない
戦国時代を背景に、殺された父親の仇討ちを誓った無双の少年が、超絶美形の鬼に憑りつかれ、旅に出たところ、脚を怪我した異国人の美少女と出会う、という少年漫画風の物語だった気がする
私だけかな、何度見ても、表紙のイラストがなんだか残念に感じるのは…
これは面白かった
目からウロコでした
表紙はアレですが…