ナオコの旅

持っているものでやり遂げる 喜んでしようと思ったとおりに

読書録

種を蒔く人になりなさい (Forest Books)

種を蒔く人になりなさい (Forest Books)

  • 作者:樋野 興夫
  • 発売日: 2019/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

「 だいぶ前の話です。日本人の青年ビジネスマンが東欧のある国に出張した時のこと。ちょうどクリスマスシーズンで、小雪舞う街は急ぎ足で歩く人々で溢れ返っていました。青年も取引先と会食するレストランに向かっていたのですが、ふと十二~十三歳のリンゴ売りの少女の姿が目に飛び込んできました。『今どき、マッチ売りの少女はないだろう』と思いながら、少女のそばを通り過ぎようとした時です。後ろから駆け足でやってきた男が少女にぶつかった拍子にカゴの中のリンゴがこぼれ落ち、道路上に散乱してしまいました。

 振り返ってみると少女はとても悲しそうな表情で立ち上がり、落ちたリンゴを拾い集めようとしていましたが、次から次へと人が通るので簡単ではありません。青年も先を急いでいたので、歩き始めました。『別に自分が悪いことをしたわけではない。しかも、外国のことだ』と思い、何もなかったように立ち去ろうとします。

 その時、青年の心に何かが弾けたのです。青年は急ぎ足で少女に近づき、自分も一緒にリンゴを拾い集めながら、『そのリンゴを全部売ってくれる?』と、話しかけました。

 少女は不思議そうに青年を見つめ、そして問います。

『あなたは、もしかしたら神様ですか?』」

(樋野興夫「種を蒔く人になりなさい」より一部抜粋)

 

 

人を生かすリーダーシップ 牧師と信徒の健全な牧会 (いのちのことば社)

人を生かすリーダーシップ 牧師と信徒の健全な牧会 (いのちのことば社)

  • 作者:金 相福
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

名著。何度読んでも、新たな感動があります。

 

 読んでいたら、KBIやO田先生など、知っている名前がどんどん出てきてびっくりしました。

 

 

年末年始の休暇は、教育関連の本を読みまくっていました。

振り返ってみれば、「教わる」「教える」ということについて、考えさせてもらった一年でした。果ては考えあぐねて、育児書まで読み漁っていました(笑)

教えない教え (集英社新書)

教えない教え (集英社新書)

  • 作者:権藤 博
  • 発売日: 2010/11/17
  • メディア: 新書
生徒のやる気を100%引き出す授業 (経営者新書)

生徒のやる気を100%引き出す授業 (経営者新書)

  • 作者:大矢純
  • 発売日: 2013/02/27
  • メディア: 新書

・何よりも大切なことは、子どもたちから信頼されること。

・保護者会の話が分かりやすい教員は、(子どもへの)授業もわかりやすい。

・大事なのは、常に子ども。

・皆がわくわくして次の一言を待っている授業。

・子供のロイヤルティを高めることが先決。

(「生徒のやる気を100%引き出す授業」より)

 

こちらに挙げた二冊の本はいずれも名著ですが、何よりすごいと思ったのは、ある先生のアドバイスとそっくり同じ事が書かれていたこと。

 

その先生は私が副顧問を務めることになったクラブの顧問の先生なのですが、指導らしい指導をされない。ただ、のんびりと子供たちのそばにいて、思っていることをそのまま口に出してしゃべっている。

「すごいな。あれで、あいつは置きにいってるだけなんやろうな。」

「どうやったら、あんな球打てるんやろうな。」

私は、放課後は毎日のように、部活動の指導といいつつ、そんな先生と子供たちのふれあう様子を眺めていました。

ある時、クラブの子が一人、放課後、忘れた体操服を取りに帰ったのですが、面倒くさくなったのか、結局戻ってきませんでした。待っていた私は何だか腹立たしく、先生に「きつく叱ってやって下さい」と言いました。すると、先生は「なんで?」と不思議そうに尋ねられ、「それがあいつなんや。最近、調子悪かったからな。休みたかったんやろう。それでええねん。明日は来るやろう」とのこと。

目からウロコでした。

先生が教えないのには、理由がありました。

子どもたちが自分から聞きに来るのです。すると、先生は逆に問いを投げかけます。

そうすると、子どもたちは自分から答えを導き出してきます。その答えが先生の気に入らないときは、さらに問い続ける時もあるし、誘導していくこともありました。

 

先生はユーモアを大切にされていて、日々子どもたちに振り回され、それどころではない私に、それではダメだ、『踊る!さんま御殿』を観なさい、と勧めてくるのでした。

あるクラスでのこと。

白紙を配って、私が読み上げる漢字を子供たちが書き取るという漢字の小テストをしていたのですが、白紙を配った後、あわてていた私は、「はい、はじめ!」と声をかけてしまいました。

クラス中の子がぽかんと私を見ています。しばらくしてから、ようやく私が問題を読み上げないとテストが始まらないことに気が付いたのでした。大失態です。

授業後、そのことを先生に話すと、先生は「それを笑いに変えないと」。

「じゃあ、先生ならどうされます?」と尋ねると、

「俺なら、『今のが、第一問や。ちゃんと〈はい、はじめ〉って書いたか?』って聞く」。

さすがの答えに、もう大笑い。

とにかくすごい先生なのでした。

 

 

強いリーダーはチームの無意識を動かす

強いリーダーはチームの無意識を動かす

女の子って、どう育てるの?

女の子って、どう育てるの?

  • 作者:川井道子
  • 発売日: 2008/11/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 コーチングってどうやるんだろう、チームってどうやって作るんだろう、女の子って、思春期の子って…という、当時私が抱いていた疑問そのままのタイトルですね(笑)

簡単にまとめると、コーチングは愛情。

愛があれば見てるし、見ていれば掛けるべき言葉もわかる、というのがコーチング(私的解釈)。

NLPは、その方法。『NLP子育てコーチング』には、子どもへの話しかけ方、答え方、受け取り方などが、例を挙げて書かれていますが、要するに、どうすれば立ち位置の違いを越えて、愛情を愛情として伝えることができるかということなんだろうと、私は理解しました。

 

『女の子って、どう育てるの?』は、男の子と女の子は、コミュニケーションの方法も目的も、全く異なるということに気づき、何か参考になればと思って手に取りました。この本のお陰で気が付いたことは、女の子は、とにかくコミュニケーションが大事だということ。「この会話、何か意味あるのか」とか「なんで、こんなこといちいち聞いてくるんだろう」とかそんな疑問を抱きがちでしたが、違うんですね、大事なのは話の中身ではなく、今、私たちがコミュニケーションを取っているという事実そのものだったんだと、ようやく気が付きました。

いつも子どもたちは、私が考えべき問題と答えを持って、私の前にやってきます。子どもたちのお陰で、本当に多くのことに気付かせてもらいました。

彼らは、読書の意味さえ、変えてくれました。

なんだか、書き足りない気がしないでもないですが、とりあえず、今日はこの辺で。